110 歌仙 「猫の爪」 2020/3/12~6/20
のどけさやついでに猫の爪を切り 笑冠者
 庭の小枝がつかむ風船 罰点某
蒲公英の綿毛漂う廃駅に 蝦蟇口乙利
 ドローンで荷が届く宅配 じゃじゃ丸
秋月 ベランダの隠れ煙草を見てる月 園桃李
 運動会はみんな一等 丸刈太
裏通りなれど人気の美術展 ほうきぼし
 ビリケンの像座る玄関 河合家喜美松
願い事無理は承知と伏し拝み
 恋  君の家へと重い足取り 箸姫
 恋 親たちを残し二人は飛び立って
いつか子連れで戻る故郷
冬月 物の怪も息をひそめる雪月夜
 炭火の爆ぜて皆がおどろく 待乳瓜猩々
蘊蓄はやがて自慢と説教へ
 隠居が語る義太夫に似て
春花 永く世に花の約束して古木
 地球を覆う黄砂乗り越え
ナオ 旅立ちを春一番に急かさるる
 ここにかしこに公儀隠密
情報の流出今や驚かず
 逢瀬がばれてドラマ降板
来ぬ人の浴衣仕上げた仮住い
 憐れなり蚊の死ぬる血の海
悲鳴にも似て初心者のバイオリン
 億という値を聞けば身震い
唐土か猿かどうする割れた瀬戸
 気をもたせつつ神田伯山
秋月 満月を背負ってひょっこり古き友
 虫篭下る縁側に酒
ナウ 料理本だけが頼りのむかご飯
 ステイホームで腕振るうパパ
びっしりと書き込む夢のスケジュール
 眼下の富士に気付き目をやる
春花 来年は会おうと添えた花便り
 津々浦々に春の賑わい
109 ニコニコ連句 「寄せ太鼓」(めでたいものごと、紅、白のもの読み込み) 2020/1/1~3/5
一の面 寄せ太鼓街は小雪となりにけり 待乳瓜猩々
 南天の実が色を増す庭 園桃李
合格を祝うスタンプどっと来て 罰点某
 ミルクティー淹れほっと一服 笑冠者
皺のなきシーツ新たに遍路宿 たけを
 はらみ猫寝る村は太平 けん
 花恋 花嫁の列を追う子の賑やかに 箸姫
  恋  ハートのエース手に入れた彼 ほうきぼし
夕立と駆け抜けて行く救急車 じゃじゃ丸
 ヨットのデッキ磨く老人 蝦蟇口乙利
酔うほどにムーランルージュ懐かしく
 紙ナプキンへ書いた伝言 丸刈太
秋月 月も赤ちょうちんも揺れ店を出る
 芒に腰を抜かす黄昏
仙人の髭と自慢は長いもの 河合家喜美松
 襲名披露沸いた口上
二の面 足早にマスク行き交う四条橋
 サンタが配るチラシもらって
豆腐屋がピザ屋になった代替わり
 開店祝義理で来る客
春花 憂きことも花と散りゆく緋毛氈
 十三参り騒がしい猿
カラカラと天狗笑いて飛び去りぬ
 破風緩やかに立つ姫路城
名物の氷いちごは群を抜き
夏恋  波にはしゃいだペアサングラス
 恋 還暦を妻と迎える同い年
 誕生石のルビー買いたし
居待月暖簾くすぐる風の客
 中にバカ殿混じるハロウィン
お世継ぎは誰に似るやら岩田帯
 おこわを炊いて配るお長屋
108 歌仙風36句「ラグビーワールドカップ」(雑尽くし・花、月は字結び)2019/9/30~02/21
イベントへにわかフアンの大騒ぎ 待乳瓜猩々
 何はともあれ挙げる祝杯 笑冠者
速達を待ち焦がれたるポストにて かめけん
 口中のガム既に味無く 園桃李
ただいまの声が嬉しい月給日 じゃじゃ丸
 羽目を外したバブリーな頃 ほうきぼし
小夜更けて猫が横切る交差点 丸刈太
 あしたまたねと重なった影 河合家喜美松
初恋は疑うことを知らぬまま 罰点某
 アンドロイドにいっそなりたい
まだ若い軋むチャリンコ登る坂 けん
 清水寺で受けた御朱印
月並みの趣味とは言わせないマニア
 夢と一緒に箱入りのまま 蝦蟇口乙利
すべからくクリックで済むご時世に
 弁当持って被災地へGO 箸姫
花暦いろいろ印書き込んで
 八笑人を真似るご隠居
ナオ 下駄履きで鍋を手に出る喇叭の音
 小銭数えてビルのオーナー けん
窓越しに紫煙くぐもる喫茶店
 レプリカの絵の古色ほどよく
言い訳も尽きて遅筆の胃が疼き
 去り状持たせ送る船着き
密会という風説にさようなら
 あらぬ方へと飛ぶブーケトス
宅配のドローンが向かう山間地
 やっと買えたと開ける鯖缶
月代に添えて兜の緒を締める
 兄ちゃん眠る顔に落書き けん
ナウ バンクシー凄いと言うの本当か
 鈍行列車弾む雑談
手毬唄誰も知らないPTA
 趣味ラテン語に引いた履歴書
研修の席より出でて花四天
 ちょっと息抜き苦き珈琲 けん
107 歌仙「沖行く船」 2019/7/2~9/28
炎天や沖行く船の白きこと 蝦蟇口乙利
 麦藁帽が駆け抜ける浜 じゃじゃ丸
メールより絵手紙来るを待ちかねて ほうきぼし
 人差し指でたどるドレミファ 丸刈太
秋月 名月に針を落とせばドビュッシー 河合家喜美松
 目覚まし止めて眠る芋虫 かめけん
ゆるゆるり紅葉の帳降りる山 罰点某
 トロッコ列車賑やかな声
木工に賭けてみようか町おこし 笑冠者
 SNSで立った評判 待乳瓜猩々
姉美人妹おきゃんで僕オタク 園桃李
 猫耳かしげ萌えキュンの笑み 縞之丞
冬月恋 月明かり遊ぶ雪釣り恋模様
冬    塩汁鍋の味も上々
カーナビを頼りに探す一軒家
 石仏群に立てるイーゼル けん
春花 羅漢寺に花ははらはらはらはらり
 蝶舞うほどに描く八の字 ドラえもん太
ナオ 引き着映え東をどりの意気姿 縞之丞
 楽屋に届く見栄の数々
キャッシュレス時代が浪費謳歌して
 済めば都を叩くビル風
秋近し隣は何をする人ぞ 箸姫
 土用鰻にこなからの酒
 恋 神田川橋の袂に影二つ
 恋  夢満載の今日の駆け落ち けん
 恋 酉年と偽る妻は丙午
 御籤のことば心に秘めて 千百
秋月 中空にかかる玉輪動かざる
 野分と共にUFO消え去る
ナウ 重陽の長寿繁栄祈る膳
 気配感じて台詞ぽつりと
しゃっくりの止まらぬ沙翁息を止め けん
 北窓開きオセロ打つ午後
春花  花は良し友もまたよし機嫌よし
 手塩にかけた凧は上出来
106 歌仙「改元因み」(「令和新元号万葉集梅歌序文」この順一字結び)2019/4/9~6/25
令ありて武者大凧は揚がりけり 待乳瓜猩々
 入園の子に唱和する風 丸刈太
第三 雛の客温故知新を聴かされて ほうきぼし
 足元に来て離れない猫 笑冠者
秋月 号外を爭って取る月の下 かめけん
 煩き虫に万華鏡置く 罰点某
紅葉踏む札所巡りも歳時記と 園桃李
 眠り続ける古代集落
差し入れの梅ヶ枝餅でひと休み じゃじゃ丸
 恋  朝の散歩の鼻歌が縁 河合家喜美松
 恋 いつの間にに恋の序奏は主題へと
 恋  袈裟に迷った果ての文覚
伝令の汗と苦労を知る密書 蝦蟇口乙利
夏月  大和路たどる短夜の月
荷造りに古新聞も詰め込まれ
 元気な子どもトップニュースに けん
号砲を待つランナーの息白く 箸姫
 褒美百万ホットドリンク かたこり
ナオ 絵葉書の花見が誘う向島
 会費集めて春の吟行
梅安の鍼で上司を四月馬鹿
 少女歌劇のパロディが受け
ウィリアムテルの序曲で颯爽と
 恋  踵を返し去った付け文
 恋 薫香の令閨につと添いて立ち 縞之丞
 和蘭海芋凛として咲く
ところてん新内稽古終えてのち
 元祖と本家競う看板
秋月 追ってくる月も守るや赤信号
 万の絵の具秋嶺描き 千百
ナウ 揺り椅子に葉巻くゆらす今年酒
 集い肩組みシュプレヒコール
塩梅は如何なんてねAIが
 伝わる歌に宿る言霊
春花 花の舞序破急つけて散り散りと
 春の眠りを誘う文机
105 歌仙「犬ふぐり」(沓冠り)2019/2/4~4/6
す り 水門の今開かれし犬ふぐり ハル
  ぐ  遥かなる土手強東風は過ぐ 罰点某
いざ発たむ蜂を受け継ぐ覚悟して 笑冠者
  ふ  槍を扱いて向う武士 蝦蟇口乙利
秋月 悶着は鎮まりあとを笑う月 ほうきぼし
  ぬ  木綿の祖母が織った新絹 じゃじゃ丸
む(ん) むかご飯焚いて独りの夕支度 園桃李
  い  辞めてしまえば呆気ない地位 丸刈太
飲むほどにヤンチャの昔巡りくる 待乳瓜猩々
  し  お国訛で喋る仲良し 箸姫
 恋 いつの日か夫婦になるを夢に見て 河合家喜美松
 恋   れ  玉の輿にも合致する彼
夏月 待てる月出でてヨットの帆も休む
  か  品評会の蘭鋳は時価
紐解いた古文書読めぬ文字ばかり
  ら  炎上はふとした言葉から
春花 爛漫の花は咲くただ一心に
  ひ  春の浅草俳聖の句碑
ナオ 輝き優る入学の子等笑顔
  ま  祝いへ用意しとく割り玉
レコードを拭いて静かに下ろす針
 恋   い  愛のバラード歌うハイファイ
冬恋 知らぬ間に二人こうなる雪の夜
  の  褞袍が隠す腕の彫り物
命がけシンドバッドの船は行く かめけん
  ん  イケアで買った薄い絨毯
抜け落ちた記憶に届く請求書
  も  果てなく続く反政府デモ けん
秋月 ふと見れば月と己と徳利と
  い  宅急便で届く新米
ナウ グランパと呼ばれ振り向く秋袷
  す  広いテラスに古い揺り椅子
理想郷説く伝道師熱っぽく けん
 自由  令和元年若き足音
春花 自由 花の雲乾通りの夢心地
 自由  山が笑えば街はときめきく
104 歌仙 「眠らぬ吾子」 2018/9/28~2019/1/21
秋月 名月に眠らぬ吾子の重さかな 笑冠者
 すすきがおいでおいでする庭 待乳瓜猩々
何処やらで秋刀魚の焼ける香りして 蝦蟇口乙利
 時計の針が描く垂直 じゃじゃ丸
遠い眼で通らぬ糸を舐める老い 縞之丞
 パウダースノー積もるゲレンデ ほうきぼし
イブの夜の闇に溶けこむ終列車 園桃李
 とりとめのない話し止まらず かめけん
 恋 出会い系サイトが二人引き合わせ 罰点某
 恋  嫁に来たれと誘うJA 丸刈太
 恋 アポ無しのカメラの前の厚化粧 河合家喜美松
 英語訛りも混じる講談 じゃじゃ丸
祭後言葉少なに月の下
 ほとぼり少し冷ますお絞り
トレモロが上手く弾けない肩の凝り
 太極拳で気分転換 けん
春花 空青し今年も同じ花の山
 善男善女揃う涅槃会
ナオ 墨堤を降りて立ち寄る桜餅
 やっと見つけた自転車の鍵
五年越し世界一周成就せり けん
 蛇口から飲む東京の水
冬  顔見世で隣り合わせた袖と袖 箸姫
冬恋  読まず火鉢にくべる恋文
 恋 南蛮の媚薬ようよう手に入れて
 恋  私娼まがいにルージュ引き見る
イントロの低音響くビートルズ
 商店街を駆けて行く猫
秋月 洞窟を出でて時空の果てに月
 つくね芋煮て客をもてなす
ナウ 猴酒徳利自慢がまたも出て けん
 片付けきれぬ故郷の家
相伝の絵画を前に撫でる顎
 富もたらした蜜蜂の群れ
春花 場所取りが欠伸して居る花の下
 風船売りの声が遠くに
103 歌仙 「田舎家に」(夏因み、夏・暑・熱・山・海の音訓読み立入、一音不可)2018/7/10~9/3
田舎家に蚊帳吊りてみる懐かしさ 罰点某
 あったあったと胡瓜もぐ祖母 笑冠者
菜っ切りの音に鼻歌乗せるらん 園桃李
 ままごとの砂ついた人形 じゃじゃ丸
秋月 真ん丸な月だからこそ筆をとる 待乳瓜猩々
 しょんぼりと立つ案山子居る丘 蝦蟇口乙利
面妖なやから集まるハロウィーン
 ここで見せたい散髪の腕 丸刈太
ご愉快は太鼓任せの若旦那 河合家喜美松
 手品のように揚がるドーナツ 笑冠者
 恋    合わせれば五回目となるウエディング ほうきぼし
 恋  止むに止まれぬ老境の恋
冬月 寒月と産婆背にして走る道
冬    厚き綿入れ羽織る間も無く
ネッシーの噂話が浮上して
 SNSにフェイクまたかい
春花 花尽きぬ川面眺めて句をひねる
 送別会が続く三月
ナオ 初虹掛かる大空へ鳥放つ
 サンポーニャの切れる様な音
塵芥の世に地上絵の謎深く
 流離う身から零れ落つ錆
とっくりを枕に裸破戒僧
 頑固一徹鳴き止まぬ蝉
 恋 薄情な辛い別れのメール来て
 恋  女を甘く見てた後悔
正体は産業スパイかもしれず
 師匠差金遣い墨出し
秋月 月高し木遣の稽古まだ止まず
 反省会ですする新蕎麦
ナウ はらはらと鐘撞堂へ紅葉散る 箸姫
 丸く小さな蹲踞を染め
お節介YOUをもてなすお人よし
 寝袋持参各駅の旅
春花  花積る旧街道の水車小屋
 アッサムティーで憩う永き日